大判例

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大阪地方裁判所 昭和58年(ワ)7446号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

二 責任

(一) 被告孝嗣の責任

右認定事実によれば、被告孝嗣は、同人に責任能力が認められることを前提とすれば、加害自転車を運転し、足踏二輪自転車のみならず歩行者も自由に往来し、かつ、南海本線住吉駅が近くに存し、人通りも多い公園内の本件道路を進行するに際しては、たえず前方左右を注視し、危険を察知した場合には直ちに停止しうる速度と方法で運転走行しなければならないのに、これを怠り、後方より追いかけてくる小嶋運転の足踏二輪自転車との距離にのみ注意を奪われ、高速度で前方不注視を怠つたまま進行した過失により、同一方向に歩行する訴外さいへを前方約2.7メートル地点にはじめて発見し、急制動の措置を採るも及ばず、加害自転車前部を同人の背後から衝突させたことが認められるのであるから、被告孝嗣は、民法七〇九条に基づく責任を負うこととなる。

しかしながら、右認定事実によれば、被告孝嗣は、事故当時満一二歳と四か月に満たない小学六年生の少年であつて、本件事故も、公園内における、同年代の友人六名とともに探偵ごつこという遊戯に耽つていた際の事故であることが認められ、右事実によれば、年少少年特有の遊戯の結果として本件事故が発生しているのであつて、被告孝嗣の事故当時の年令、右の如き本件事故の態様及び被告孝嗣は両親と同居していることを考慮すれば、被告孝嗣に本件事故の結果につき、法律上の不法行為責任を弁識することができる知能を具えていたものとして、その責任を負わせることはできない。

従つて、原告らの被告孝嗣に対する本訴請求は、その余の点を判断するまでもなく、棄却を免れない。

(二) 被告孝四郎、同千枝子の責任

前記認定事実によれば、被告孝四郎、同千枝子は、被告孝嗣の両親であつて、同人が、いまだ満一二歳と四か月に満たない小学六年生であることから、同居している同人を指導監督すべき法律上の地位にあり、また、同人に五段変速機付ミニサイクル自転車を買い与えたのであるから、同人が公園内で右自転車を運転しようとする場合には、事故の発生を未然に防止しうる速度と方法で走行するように指導監督すべき注視義務があるのに、これを怠り、公園内で遊ぶ際の加害自転車運転上の注意を十分与えず、かつ、十分な監督をしなかつた過失が認められ、右過失により、被告孝嗣は、前記認定の不注意により本件事故を発生させたことが認められるのであるから、被告孝四郎、同千枝子主張にかかる無過失の主張は採用しえず、同人らは、民法七一四条一項に基づき、訴外さいへの損害を賠償する責任がある。

(坂井良和)

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